一世紀以上に渡り電気の安全を守り続けている ヤマキ電器株式会社
碍子(がいし)ってご存知ですか?
私はこちらの会社さんに訪れるまで、恥ずかしながら「碍子」を知りませんでした。
碍子とは
Oxford Language
電線を支柱などに絶縁固定する陶磁器(または合成樹脂)製の器具
そうです、電柱にちらり見える白いモノ!
全国の電柱にある碍子は実は瀬戸の企業:ヤマキ電器株式会社さんが作っています。
どうして大手企業が製造していないのかというと、各電力会社によってちょっとずつ規格違うため、大量生産が難しく、柔軟に対応できるヤマキ電器さんのような中小企業が製造しています。
今回はそんなヤマキ電器さんの工場をご紹介します!
ヤマキ電器株式会社
489-0074
愛知県瀬⼾市宮脇町4番地
https://www.ymkco.co.jp
明治30年に商店からスタートしたヤマキ電器株式会社。
その時代は電気が登場し、普及し始めた頃で、当時はソケットが陶器でできていました。そのソケットを販売し始めたことが、今のヤマキ電器さんの原点となり、100年以上の歴史を築いています。
今では多くの地域の企業と協力し合い、製品を生み出し、窯業を支えています。
配電用機器碍子がどう作られているか
土練と成形
ヤマキ電器さんの碍子の工場は2階建てでできています。
実はここがポイント!まず2階でパンケーキのような土を水や薬品でチョコレートのように、とろとろに溶かします。

ケーキと言われる粘土の塊。

そのトロトロに溶けた粘土は重力だけで下(1階)に流れ、下でセッティングされた石膏型に流し込まれます。

これが鋳込みによる成形法で、エアーなどの人工的な圧力では隅々までうまく粘土が行き渡らず、このような手法に行き着いたそうで、この方法だと複雑な形状も形成可能なのです。
次に石膏型に水分を吸収させ、粘土を固めます。
この吸水時間は季節によって変わるため、長年のノウハウが必要となってきます。といっても、まだまだ粘土は緩い状態。

空気を吹きかけて型から外す作業には、職人さんの慣れた技術が必要になってきます。
職人さんが流れるようにサクサクと進めていますが、まだ柔らかい碍子。ここで傾きを微妙に調整しているらしいです。
乾燥


そこらじゅうに碍子!どこをみてもきれいに並べられた碍子の列です。
自然乾燥が終わったら、乾燥機で乾燥させます。
加工(仕上げ、削り、転写)

機械や道具で削り、綺麗に整えたり、文字やマークをシリコンを使って印刷します。
施蝋


ロウを塗って、釉薬がつかないようにします。
組み付けるための設置面に釉薬がつかないよう、ロウでマスキングし、外だけでなく、内部の細かいところまでしっかり施します。
施釉

釉薬にドボンと浸し、厳しい屋外の環境に耐えらるよう釉薬を施します。
焼成


炉で2日かけてしっかり焼き上げます。
製造量も計画的に行なっているため、バッチ炉という、いれたり出したりできる炉を使って焼き上げていきます。
品質保持の検査

全数を高周波試験(擬似的に雷を作りだす)で割れ、ヒビがないかチェックします。もしヒビがあった場合は、電気がヒビのある部分に集中するので、すぐにわかるという試験。
ちょっとこわいけど、理科の実験みたいです。
目視による外観検査

最後は人の目でチェックして出荷します。
以上が碍子の製造工程です。
たとえ一部の部品でも、細かいところまで人の手で丁寧に施されているからこそ、安全が保たれている碍子。
このような工程で出来上がることを初めて知りました。
あのひょうちゃんも、ここ瀬戸の生まれ

またヤマキ電器さんは碍子だけでなく、関東の方にはお馴染みの崎陽軒の醤油差し「ひょうちゃん」も作っています。

碍子と似た成形方法で、型に流し込んで作成します。表面が適度に固まったら、中の固まっていない泥を出し、口の部分の穴を整えます。

これがひょうちゃんの赤ちゃん!
このあとはシリコンスタンプで顔を入れ、釉薬に浸けたあと、焼き上げます。
碍子と同じ工程ですね!
熱効率の良いセラミックヒーター

色々な用途や可能性を含んだ窯業。
ヤマキ電器さんは他にも、遠赤外線放射体を利用した熱効率のいい工業用セラミックヒーターを製造しています。
もの(物質)を温めるのに相性のいい波長があるそうで、このセラミックヒーターは樹脂との相性が非常に良く、自動車業界で多く使用されています。
また、そのセラミックヒーターを食品用に使用しており、最近では風を使わず、じっくり乾燥させるからこそ、香りが維持されるなどの研究結果が出ています。
しかし食品向けヒーターはまだまだ研究段階だそうで、今後の活用、活躍が楽しみです!
他にも、もうひとつご紹介したい製品があります。
実は工場に伺う前に、”ヤマキ電器株式会社”をどこかで聞いたことがあると思っていたら、製品を使っていました!製造数は少ないですが、一般向けにも製造している茶道用の「電気炭」。
今は全国でここだけ、ヤマキ電器さんで作っています。まさか瀬戸、尾張旭で作ってるとは知らなかったので、驚きです。
(もう1社も作っていたのですが、他社に権利譲渡して、今はほぼ製造していないそうです。)

電熱が露出していないプレミアム電熱器は、写真の様に全て手作業で電熱線を粘土に埋め込みます。
この後の工程は、施釉、焼き上げ、通電検査、組み付けと、手が込まれています。
電気炭のお陰で、炉の炭による一酸化炭素中毒による事故を防ぎ、茶道が楽しめるため、個人的にはずっと続いてほしい企業さんです。
感じたこと
気付かないところで日常を支えているヤマキ電器株式会社さん。
長い年月をかけ、ノウハウや技術を蓄え、安定した製品を製造する一方、セラミックスという窯業の新しい可能性にも挑戦しています。
静かに静かに愚直な努力と着実な成長が感じられる企業でした。
ありがとうございました。
ヤマキ電器株式会社
489-0074 愛知県瀬⼾市宮脇町4番地
https://www.ymkco.co.jp